旅の醍醐味
旅で最も楽しい瞬間はいつだろうか。
雄大な風景を見ている時か?
旅先で出会った人とビールを飲みながら談笑している時か?
もしかすると、僕にとって旅のクライマックスはオンラインでチケットを購入している時かもしれない。
もちろん、道中での出来事は何にも代えがたい貴重な経験だ。
しかし僕はチケットを購入する瞬間にエクスタシーすら感じる。
今回のエクスタシーは5月下旬の日の23時に、実家の自室で発生した。
僕の新卒就職活動の終了が決まった日だった。
今回の行き先はヨーロッパ。
フランス、スイス、オランダ、ドイツを巡る22日間の旅になった。
モン・サン・ミシェルを訪ねて
観光立国フランスに対して憧れを持つ人は多い。
エッフェル塔、ルーブル美術館、シャンゼリゼ通りなど、魅力的に溢れる国だ。
僕がアトラクションのデパート、フランスで惹かれたのは「モン・サン・ミシェル」。
パリから280キロほど西に移動するとたどり着く、ブルターニュのサン・マロ湾に浮かぶ修道院だ。
電車で向かうのが通説だが、僕はゆっくりと車窓を楽しみたかったのでバスで向かった(本当はお金が無かった)。
レンヌという街でバスを降り、そこで一泊。
翌朝バスで向かい、その日のうちにパリに戻る企てだった。
しかしこれが仇となり、旅のメインディッシュのひとつであったモン・サン・ミシェルを見逃すことになる。
そんなことはパリのシャルル・ド・ゴール空港に到着早々、自称中野区民のフランス人に絡まれていた僕には想像もできなかった。
目的地って何だろう
満員にも関わらず葬式の様に静かな高速バスに乗ってレンヌに到着した。
宿泊したのはアパートの一室で一泊6000円強だった。管理人のおじさんに計画を話すと、
「シーシーシー、多分無理だよそれ。パリに戻るバスには間に合わない。レンヌにもう一泊しなさい」
と言われた。
このおじさんは独特な笑い方をする人だった。
しかしパリ行きのバスはもう予約してしまっていた。
時間を変更しようにもその日のバスは全便満席だった。
泣く泣くモン・サン・ミシェルを諦め、レンヌで丸一日過ごすことにした。
フランスの夏の夜は23時ごろまで明るい。
レンヌに到着したのは18時ごろだったが、しばらく歩き回ってみた。
フランスに到着初日にも関わらず、気が狂った様に移動したので僕のHPが限界値に達していた。
外のお祭り騒ぎと明るい夜が多少気になったが関係無かった。
22時ごろ宿に戻り、死んだ様に寝た。
おっと、長文になってしまった。悪気はない。
読んでくれた方のドライアイを助長してしまったことを詫びよう。
次回は軽くレンヌの街をブラブラした話をしようか。目標、500字。(今回は1,209字)