初野宿inヨーロッパ
ジュネーブを無事に出発した僕は24時にアムステルダム空港に降り立った。
市街に出てホテルを探す気力がなかったので空港で夜を明かすことにした。
人目が少なくて横になれる場所を血眼になって探したが、広い空港とはいえどもなかなか見つからない。
一周回って人通りの多いところで寝てみようと、通路の片隅に横になってみたが、眩しさと通行人の視線の痛さで眠れない。
3歳ぐらいの女の子が僕を指差して何か言っていたが、母親がその指をサッと払い、女の子の耳元で何か囁いた。
気がつけば僕も22歳。
彼女と同じ年齢の時に、オランダの空港で将来野宿をすることになるなんて微塵も想像していなかっただろう。
彼女も僕と同じ道を辿ることを願いながら新たな寝床を探した。
空港内のバーガーキングで買ったハンバーガーを片手に寝床を探していると、営業を終了したカフェを見つけた。
通路と店内を隔てる壁がなく、ソファが置いてある。
僕は迷わず飛び込んだ。
染み付いたカフェインの香りが気持いい。
一瞬にして眠りに落ちた。
ーー「ニン」「モーニン」「グッモーニン」
目を覚ますと3人の警察官が僕を囲んでいた。
時計を見ると朝の5時半。かれこれ3時間近く寝ていたみたいだ。
厳つい警察官の呼びかけで起こされた。
「おはようさん。そろそろカフェがオープンするから退いてくれ。随分良く寝てたね」
「最高の寝床だったわ。起こしてくれてありがとよ。ところで鉄道の駅はどっち?」
目覚め
空港から鉄道に乗り市街に到着したのが6時。
予約した宿のチェックインは14時。
まだまだ荷物を背負って徘徊する義務があった僕は、地図も見ずにアムステルダムを歩いてみた。