久住という男
今回の同行者である久住は非常に育ちがいい。
関係があるかは分からないが食に対するこだわりは非常に強い。
そんな人間は異国の地で食事が体に合わずに苦労した話をよく耳にする。
久住も例外ではない。彼が過去に行ったイギリスやフィリピンの感想を聞くと、第一声は
「飯がマズかった」
しかし彼は性懲りもなく何度も海外行っては同じ事を繰り返す変わった男だ。
さすがの彼も日本と距離も文化も近しい台湾ならば食を楽しめるに違いないと思ったが、昼食でハズレを引き、夜市ではカメラを壊して食事どころではなくなるなど満足にグルメを楽しめずアンラッキーに1日目を終えた。
2日目の朝は台北で大人気の朝食「鹹豆漿(シエンドウジャン)」の人気店、「阜杭豆漿」へ出向いた。
想像以上の人気で店を囲むように行列ができている。
まさか人生で朝食のために並ぶ日が来るとは思わなかった。
そもそも鹹豆漿とは、ザーサイ・黒酢・塩・パクチーが入った器に熱い豆乳をぶち込んだ物だ。
中華版コーンフレークといったところだろうか。
こんなものが美味いはず・・・う、美味い!!パクチーやラー油の刺激を包み込む温かい豆乳の優しさ。
母にきつく叱られた後に慰めてくれる祖母の優しさのようだ。
並ぶ価値が十分にあった。
あっという間に完食した。
満足した僕がふと横を見ると久住が放心状態で固まっていた。
どうやら天下の舌を持つ久住氏を満足させるグルメはこれでもないらしい。
しかし、台湾にも久住を満足させた料理はある。
まず一つ目タイトルにもある通りタピオカだ。
台湾にいる間、彼はタピオカ店を見つけると散歩中の犬のように立ち止まり購入していた。
当時の彼の体の60パーセントはタピオカでできていたに違いない。
2つ目は鼎泰豐(ディンタイフォン)の小籠包。
確かにこれは美味しかった。
サイズが小さい気もするがこのサイズでこその鼎泰豐なのだろう。
そして最後は意外や意外。
九份の路上で餓死しそうだったのでたまたま入った食堂で食べたタケノコの煮込み。
おっと危ない。
このブログが久住と台湾料理に乗っ取られるところだった。
そうなる前に今回はこれで失礼しよう。
皆さんも料理と久住で満腹になったと思うので次回は料理と久住の事は一旦忘れて台湾を一緒にお散歩しましょう。