オセロ
知っているようで知らないことは意外と多い。親が今乗っている車は何台目?自分が生まれた日の天気と曜日は?
僕も普段弾いているギターがどこで作られたのかも知らないし、自分が初めて喋った言葉も知らない。そんなこと調べたり親に聞いたりすればすぐ分かることだが僕たちはそのタイミングになるとすっかり忘れてしまい、別の事やおしゃべりに夢中になってしまう。
僕にとってのオーストラリアも同じだ。世界地図を見れば一目瞭然目に飛び込んでいる巨大な国だし、日本との関係も希薄ではない。でも僕はオーストラリアの地理や名物料理などの知識は無かった。
実際に現地に行くとその国の位置関係や歴史など、オセロをひっくり返すように知らないことが知っていることにするりとひっくり返る。これも旅の醍醐味の一つ也。
ブルーマウンテンズ
エコツーリズムについて、ブルーマウンテンズに行けば何かあるんじゃないか。誰かが言った。
良かった。ゼミのメンバーは僕よりオーストラリアについて詳しいみたいだ。
シドニーから鉄道に揺られて約2時間。僕達は世界遺産でもあるオーストラリアきっての景勝地、ブルーマウンテンズにたどり着いた。
今まで見てきた中で最も「雄大」という言葉がドンピシャリハマる景色だった。
日本の修学旅行生をちらほら見かけた。ブルジョワ階級にとっての京都・奈良のような場所なのかしらん。
さすがエコツーリズム先進国オーストラリア。山の中にこんなジェットコースターともトロッコともとれるものを設置して観光客を呼び込んでいる。
確かに遊歩道や上記の設備なども整備されているが、あくまでも自然保護最優先の心意気がひしひしと感じられた。
セリフ
「オーストラリアに来たからにはせっかくだし海を見たいよね」岡部という女が言った。
「いいね」早川という男が言った。
「いいビーチあるよ。船で行ける」松原という男が言った。
僕は何も言わなかった。
なんでもこの松原という男は高校時代シドニーに留学しており、当時彼が過ごしたエリアのビーチに連れて行ってくれるそうだ。
「いいね」満場一致でそこに向かった。
足をつけてみると水が冷たい。海だもの。
突発的で準備不足な海水浴が大嫌いな僕は大人しく日焼けをした。
何も考えずに海に入ると潮でベタベタするじゃないですか。あれすごい嫌いなんですよ僕。
同じ理屈で飲み会の後に終電逃すともう最悪。翌朝、髪の毛についたワックスがベタベタするんですよね。
最近はタクシー捕まえてでも帰るようにしてます。この前なんか急遽ホテル泊まっちゃいました。千葉駅で。今考えたらタクシーで実家帰れたな。
そんなことはさておき、街を少し歩き、また船に乗りシドニー市街に戻った。途中、ハーバーブリッジを歩いて渡ることができた。
正直やり残したことはあまり無い気がする。
病気発動
以前も書いた通り、集団行動が苦手だ。もうほとんど病気と言ってもいいかもしれない。
自分がやりたいことがあると集団そっちのけで没頭してしまう。今回はシドニー空港でそれが発動した。ご存知の通り僕はキャリーバック(通称:ガラガラ)は持たない主義なので荷物は基本的に全て機内に持ち込む。
一方、ゼミメンバーの3人は荷物を預け入れるということで皆カウンターに向かった。LCCだったからチェックインとは別に何か手続きが必要だったんじゃないかな。
僕も一緒について行き待っていれば良いのだが、その数時間前に日本でM-1グランプリの決勝戦が放送されていることを思い出した。見たい。見たい。もうYouTube上がってるのかな。上がってるんだろうなあ。気がつくと僕は3人を放り出して座れる場所を探すために空港内を闊歩していた。ようやく椅子を見つけ、どっこいしょと座るとイヤホンを耳に装着し、YouTubeにアップロードされたM-1グランプリ2018決勝戦を視聴し始めた。
1時間ほど視聴し、ふと顔をあげると他の3人が向かいに座っている。なぜここがわかったのだろうか。そうか。声出して笑いっていたら気が付くわな。
皆やさしいね。
さて、次回はメルボルン。僕はシドニーよりメルボルンのほうが好きなので書くのも楽しみだ。