寒空の下で
僕は服装の選択に失敗することが多い。薄ら寒い時に薄着もしくは半袖で元気よく家を飛び出し、1時間後には捨て猫のように小さく震えちまっている。
シドニーを出発し夜中に到着したメルボルンでも自らの失敗を自覚することとなった。
空港を降りると、ヒヤリと冷たい空気が肌を刺す。おかしい。ここはオーストラリアのはずだ。
1時間ほどしか飛行機に乗っていないが、ウラジオストクにでも来てしまったのか。いやそんなはずはない。ゼミの皆はいつの間にか暖かそうな長ズボンを履いている。
震えながらUberを待った。メルボルンでの宿はAirbnb。LCCを降りてUberに乗ってAirbnbに泊まるって、絵に描いたようなモダンな旅をしているじゃないか僕たちは。
そんなことを考えほくそ笑みながら乗車すること約1時間。お目当てのAirbnbに到着した。さて鍵を開けてお部屋を拝見。
ガチャガチャ、ガチャガチャ、バン、バン、
あれ、ガチャガチャ、スッスッ、ガチャ、バンバン
どれ、貸してみ。ガチャガチャ、ガチャガチャ、なんでだ。ガチャガチャ
もう、どいて。ガチャガチャ、ガチャガチャ、ガチャガチャ
・・・・・・
開かない。鍵が開かない。寒空の下僕らはメルボルンの住宅街に立ち尽くした。代わる代わる解錠にトライしてみる。
下半身が痛い。僕たちが室内に入れたのはそれから30分後のことだった。
12月の南半球でここまで気温が下がるのか。またしてもオセロがするりと裏返った。
オージーアニマルたち
わざわざメルボルンに移動したのにはれっきとした理由がある。動物保護地区を視察するためだ。到着翌日、バスに乗りカンガルー、ワラビーの保護地区に向かった。
今回僕はプランニングにノータッチだったので出発直前に知ったが、カンガルー・ワラビー保護地区→コアラ保護地区→ペンギン保護地区とひたすら保護地区を回り続けるツアーに参加するようだ。これが本当の過保護。
カンガルー・ワラビー保護地区では餌を持たされて彼らの元に解き放たれた。
仲違い
ここのカンガルーは近づいてきて餌をねだってくる。与えないと力づくでこちらの拳をこじ開けようとしてくる。僕はカンガルーとせっかく仲良くなったのに、それが原因で仲違いしてしまった。
「やめてえ!痛いよお!」
「ゑがぺろさん、そんな乱暴なカンガルー放っておいて僕と遊びましょう。あ、すみません遅れました、ワラビーやらせてもらってます、鈴木です!」
そう言いながらワラビーが微笑みかけてくれた。
僕は嬉しかったのでワラビーと遊ぶことにした。
「サイズ感的にもワラビーの方が怖くないしいいや」そんなことを思っていると、じっと視線を感じた。
悲しそうにこちらを見つめるカンガルー。反省しているようだ。僕も鬼ではない。許してあげることにした。
俺たち、トモダチ!!仲直りの印に方を組んで写真を撮った。
さて、次回はコアラとペンギンについて書いていこう。