短絡的人間
アムステルダムを鉄道で出発して4時間ほどでドイツの金融都市、フランクフルトに到着した。
長かったヨーロッパ旅もいよいよここで終了し、フランクフルト国際空港から羽田空港に飛び立つわけだ。
パリでマキシムとヴェルサイユ宮殿に行ったことやロメオとマックスと登山をして遭難しかけたこと,ニヨンで後ろ姿を見た海岸の少女等、全てが遠い昔の出来事に感じる。
さて、フランクフルトといえばビールとソーセージ。
極めて短絡的な発想だが間違いではない。むしろ100点満点の発想だろう。
空腹だった僕はホテルに荷物を置くと街を散策して地元の人で賑わっているレストランに入った。
フランクフルト3days
フランクフルトに来た理由は帰りの飛行機に乗る以外は無く特にプランも考えていなかったため、3日間はショッピングや散歩に費やした。
この日は大きなトライアスロン大会が開催されていたので街を歩いていると否が応でも観戦する羽目になった。
僕のパンツ
旅行中(特に終盤)、なぜかパンツが足りなくなる。
逆算が下手なのか、必ずと言って良いほど飛行機の中で履くパンツが無くなる。
僕は軽度の潔癖なので、二日連続同じパンツを履くことはなんとしても避けたい。
ノーパンで日本の地を踏むか、現地調達するかの二択に迫られる。
後述するが、これが引き金となりアメリカ横断の帰りに悲惨な事件が起こる。
今回も帰りのパンツが足りなくなった。
しかし残り二日で洗濯機を回すのはもったいない。
お土産にもなるしドイツのショッピングセンターでおしゃれな可愛いパンツを買おう。
そう決意した僕はフランクフルト2日目の午前中を丸々使い、可愛いパンツを探した。
僕が買ったのは、真っ赤なベイズリー柄のボクサーパンツだ。
結構気に入っている。
この記事を書いている今も・・・履いていない。
とにかく、僕のローテーションに組まれることになるパンツを買った。
旅の終わりに
パンツを買った僕は安心したのでマイン川を眺めながらビールを飲むことにした。
1ヶ月の旅を思い出しながら缶ビールが飲みたかった。
川を見ながらビールを飲むと、水流でビールが押し込まれるような連想をするのか酔いが早く回る気がする。
この時飲んだのは缶2本だがとても気持ちが良かった。
何を考えていたのかは今となっては全く覚えていないが空と川の青さ、座ったフカフカの芝生が心地よかった。
エピローグ
無事にフランクフルト国際空港から北京行きの飛行機に搭乗した僕は問題なく羽田空港に到着。
日常へと戻っていく・・・はずだった。
待てど暮らせど荷物がこない。
30分レーンを眺めているが、僕の黒いバックパックはいつまでも流れてこない。
これが噂のロストバゲッジか。受付カウンターに行き荷物が無い旨を伝えると、淡々とした口調で
「お客様のお荷物は北京にございます」
と言われた。どうやら僕のバックパックだけ北京観光に繰り出してしまったらしい。
全く勝手なやつだ。
持ち主は空港のベンチで寝ていたのに。
やれやれ、ペットが飼い主に似るのと同じく、苦楽を共にしているバックパックも持ち主に似るらしい。