2022.8更新再開。アメリカ編完結を刮目せよ。

フランス⑨(アヌシー) ある一日について

スローライフ イン エパニー

アヌシーのエパニーという村に5日間ほど滞在した。

ここでの生活は、上海留学で授業の出席を諦めた以降のそれ(このブログの草創期の記事を参照)を90倍希釈したようなスローライフっぷりだった。

朝の9時に起き、ロメオの冷蔵庫に入っているパンやピクルスと野菜ジュースを口に入れ、部屋のベランダからの景色を飽きるまで眺めると、庭のプールに浸かる。

気が向けばロメオが散歩に連れて行ってくれる。

道中で会った友人の家に行き、ビールを飲みながらサッカーゲームのFIFAを嗜む。

次第に友人が集まってくると車で村の中心部のバーに行き、W杯のグループリーグを観ながらビールを飲む。

試合が終わるとロメオの家で今度は果実酒を飲む。

そして寝る。

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ロメオのお気に入りの草原。はっきり言って、こういった名前のない場所に来るために旅をしているのかもしれない

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ベンチに腰を掛けると、一面のヒマワリで視界が埋め尽くされる

ある日、アヌシー市街に出かけようと誰かが言った。

アヌシー市街は身体に悪そうなミントアイス色の湖、アヌシー湖の畔に広がっている。

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向こうにそびえるのはアルプス系の山々。水もあれば山もある

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あの寒い日に、渋谷でロメオに会っていなければこの湖を見ることはおそらく一生なかっただろうと思うと感慨深く、不思議な気分になる

僕たちはひとまず車を停めて、バーで日本対ポーランドの試合を観戦することにした。

試合の結果は忘れてしまったが、店員が一生懸命にこちらをチラチラ見ていたことは覚えている。

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[Giraffe]と呼ばれるこのビールは6人で飲むとあっという間もなく完飲してしまう。キリンなんて中途半端なものにせず、[Walrus(セイウチ)] もしくは素直に [Elephant]ぐらいにしてほしかった

試合が終わると、僕たちはアヌシーで警察官をしている「ヴィトン」のシルバーのBMWに乗り、20分かけてエパニーに戻った。

酒と緑と湖と。エパニーでの生活はこれまでの僕の人生の中でも指折りの堕落した生活ぶりだった。

夕方、ロメオの家に戻った僕に、アヌシー湖からの風が追いついてきた。

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