なにもない日
ラスベガスでの勝負を終えた僕は翌朝目覚めるとすぐにRVを走らせた。
意気消沈したことも眠るとすっかり忘れる。
人間にとって忘れる能力は覚える能力と同じぐらい重要だって昔誰かが言っていた気がするが、カジノで負けたことは財布を見るたびに思い出すんだからその能力は役に立たなかった。
しかし屋根も直ったのですこぶる機嫌と体調が良かった。
いつも夜勤で頑張っている冨澤と坂本はそのまま寝かして石原を助手席に据え、次の目的地のグランドキャニオンに向けて車を走らせた。
ラスベガスから離れるにつれて、車窓からの景色は殺風景になってくる。
しかしこの殺風景さはRVトラベラーにとってはこの上ないロマンだ。
さて、グランドキャニオンへ急ごう。